生物物理学的品質管理:アブカムの抗体の品質に関する新たな基準について

リコンビナント技術、アプリケーションテスト、ノックアウト検証により、抗体の品質は常に改善されています。2010年以降、高い水準へと改善を続け、当社の基準に沿わない60,000を超える製品が廃止されてきました。

現在では、業界をリードする抗体の生物物理学的特性評価の取り組み、 すなわち「生物物理学的品質管理」により、さらに高い水準を目指しています。

抗体は、ライフサイエンス研究にとって非常に重要なツールです。しかし、作業中にツールが邪魔になってしまうこともよくあります。あまりにも多くの抗体が十分に特徴づけられておらず、研究者の貴重な時間とリソースが再現不可能な研究に浪費されています。Nature誌の2015年の記事では、世界中のタンパク質結合試薬への支出の約50%が、非特異的で一貫性のない抗体のために無駄になっていることが報告されました。

再現性における危機を克服することがアブカムの取組みの中心であり、優れた特異性、感度、一貫性を備えた抗体を提供する取組みを推進し、研究者が自信を持ってより速く研究を前進できるよう支援しています。

当社ではリコンビナント技術、広範なアプリケーションテスト、ノックアウト検証を用いて抗体の品質を継続的に向上させ、特異性と高い性能を確保しています。現在はノックアウト検証済みの抗体を4,500種類以上提供し、今年だけで400種類が追加されています。

現在、当社は生物物理学的品質管理を用いた製造段階における新しい業界標準を推進しています。これにより抗体の優れた性能を常に保証することができます。

生物物理学的品質管理により、分子レベルで抗体の同一性を確認でき、ロット間の一貫性を最大にするため、再現性のある安定した結果が得られます。

生物物理学的品質管理により、不純物や凝集体の存在を検出し、解釈の余地のない製品独自のプロファイルや「フィンガープリント」が得られます。このデータを使用してその後のバッチを検証することで、高い特異性、感度、一貫性を保証することができます。

​ロット間のばらつきを排除することは、さまざまな段階にわたって同等性のある結果を得ることができるため、長期のプロジェクトにとっては重要です。研究者はアッセイ条件の最適化を繰り返し行う手間からも解放されます。単一ロットではなく、複数ロットのバッチを安心してプールでき、時間も費用も節約できます。

当社の生物物理学的品質管理の専任チームでは、これまでに32,000を超えるリコンビナント抗体のポートフォリオの74%近くを評価しており、平均合格率は97.9%です。

当社は、抗体医薬品向けのゴールドスタンダードとしてバイオ医薬品業界で確立されたツールキットを使用し、配列同一性、配列完全性、凝集、純度、濃度を評価しています。これには、液体クロマトグラフィー質量分析法(LC-MS)、動的光散乱法(DLS)および高速液体クロマトグラフィー(HPLC)が含まれます。


当社はこうした分析評価で高い合格率を誇っており、高い水準で品質保証を行っております。

「わたしたちがバリデーション技術を導入すれば、世界中の多くの研究者に利益をもたらします。 また、抗体バリデーションの業界標準の設定にも貢献できます」

アブカムの研究開発部門のシニアバイスプレジデントのAlejandra Solache博士

74%
当社の32,000を超えるリコンビナント抗体のうち、これまで、当社の生物物理学的品質管理専任チームによって74%がテストされました。
97.9%
リコンビナント抗体の平均合格率は97.9%と、当社の抗体は分析評価で高い合格率を誇ります。

「わたしたちのミッションは、科学者がより早く発見に至るように支援することであり、1回目の実験から、毎回機能する試薬を提供することがこの目標を達成する鍵です」と、アブカムの研究開発部門のシニアバイスプレジデントのAlejandra Solache博士は述べています。

Solache博士は、そのキャリアの大半を業界や学界で研究用抗体の品質と性能を高めることに費やしてきました。2021年には、再現性の危機に取り組むそのリーダーシップと献身により、CiteAbのAward for Significant Individual Impactを受賞しています。

「アブカムの規模、影響力、そして高い品質に対する献身的な取組みが、業界内で大きな責任を有するポジションに当社を導きました。わたしたちがバリデーション技術を導入すれば、世界中の多くの研究者に利益をもたらします。また、抗体バリデーションの業界標準の設定にも貢献できます」

生物物理学的品質管理は、最新のバリデーション技術です

当社の抗体の高い品質は、幅広い正確なバリデーション技術に基づいています。これらのツールに基づいた生物物理学的試験により、当社の抗体を詳細に知ることができます。これにより、お客様が使用するアッセイの条件にかかわらず、信頼できる結果が得られます。ツールには、以下が含まれます。

リコンビナント技術 – 高いバッチ間の一貫性、感度、特異度を誇ります。

広範なアプリケーションテスト – 当社のすべての抗体は開発段階で組織マイクロアレイでの免疫組織染色(IHC)を含む広範なアプリケーションテストが標準で実施されています。

高度なバリデーション – 各ターゲットに対して、マスサイトメトリー、ChIC/CUT&RUN、生理活性等で検証を行った抗体も取り揃えており、該当する抗体には「Advanced Validation」タグが記載されています。

ノックアウト検証 – 広範なヒトノックアウト細胞株ライブラリーを使用して抗体検証を行っており、2020年と2022年にCiteAb賞を受賞しました。自社製の細胞株も購入いただけます。

学界から業界まで、実験の再現性を向上させることで、研究と健康アウトカムにプラスの影響をもたらします。わたしたちは協力することで再現性の危機に取り組み、科学をより速く前進させることができます。